遺産分割前でも”単独で”預金の払い戻しができるようになりました。
相続が発生すると、相続人は まず 葬式費用の支払が必要となります。
また、被相続人が入院したまま亡くなった場合、亡くなった日までの入院費用を
支払わなければなりません。
日々の生活費を被相続人に頼っていたり、被相続人の債務を返済しなければいけなかったり…
相続人は、相続が発生したことで、すぐに必要な資金がいろいろとあります。
〔 改正されるまでは 〕
遺産分割前に 相続人が 被相続人の預金を引き出すことはできませんでした。
預金を引き出すためには、家庭裁判所の判断を受ける必要がありました。
〔 改正後は 〕
家庭裁判所の判断を受けることなく、単独で 金融機関に行けば、
預金を引き出すことができるようになりました。
◇ 単独で引き出すことができる金額は …
被相続人の預金の金額 × 1/3 × 預金を引き出そうとする相続人の法定相続分 となります。
上記の計算式によると、
被相続人の預金が多額のケースでは、その金額に応じて多額の預金を引き出すことが
可能になることになります。
今回の改正は、相続人が、当面の生活費、葬式費用の支払などに困ることがないように
行われました。多額の預金を引き出す必要はありません。
遺産分割協議が完了すれば、相応の預金を相続することができるからです。
そこで、相続人が単独で引き出すことができる金額には、限度が設けられました。
◎ 引き出すことが出来る金額は、一金融機関につき 150万円までです!
例)被相続人の預金
A銀行 普通預金 900万円
A銀行 定期預金 600万円
相続人 … 長男、二男の2名
→ 長男は、葬式費用の支払のため、預金を引き出そうと考えています。
引き出しが可能な金額は、いくらでしょうか?
A銀行 普通預金 900万円 × 1/3 × 1/2(長男の法定相続分)= 150万円
A銀行 定期預金 600万円 × 1/3 × 1/2(長男の法定相続分)= 100万円
一見すると、長男が引き出し可能な金額は、
150万円 + 100万円 = 250万円 なのでは? と考えてしまいがちです。
しかし、引き出しが可能なのは、
” 口座ごとではなく、一金融機関につき、150万円まで ” と決められています。
したがって、長男がA銀行から引き出せる金額は、150万円となります。
税理士法人みらいサクシード
(旧 小林花代税理士事務所)
石川県野々市市本町五丁目11番17号4階
TEL 076-259-6076