小規模宅地等の特例 相続開始前3年以内に貸し付けを開始したら適用除外へ
平成30年度の税制改正で、小規模宅地等の特例のうち、貸付事業用の宅地について
相続開始前3年以内に 貸し付けを開始している場合、特例が受けられなくなりました。
◇ 貸付事業用宅地とは
小規模宅地等の特例には、大きく分けて2つの種類があります。
① 被相続人の居住用宅地と ② 被相続人の事業用宅地
で、要件に該当すれば 適用を受けることができます。
貸付事業用宅地とは、② 被相続人の事業用宅地のなかに含まれます。
「貸付事業」とは、不動産などの貸付で、相当の対価を得て 継続的に行う行為をいいます。
◇ 減額される割合
貸付事業用宅地に該当した場合には、200㎡を限度として 50% の評価減を
することができます。
◇ 今回の改正は
相続開始前3年以内に 新たに貸付事業を開始した場合、小規模宅地等の特例を
使えなくなりました。
◇ 改正された背景は
相続税の負担を軽減させるために かけこみで一時的に 貸付事業を始める人が
増加したことが背景としてあるようです。
相続財産のなかに現金1億円があったとします。
相続が発生すれば、その1億円に まともに相続税がかかってきます。
もし、その1億円でアパートを購入したとします。
家屋の評価額は、実際の売買価格の6~7割と言われていますので、
相続財産は、6~7割に圧縮されます。
さらに、貸付を行っていた場合には、家屋も敷地も減額を受けることができます。
もともと1億円あった現金は、半分近くの評価額に下がることになります。
そして、その貸付事業用宅地は、200㎡を限度として 50% の評価減を受けることが
できるため、相続税の圧縮効果は非常に大きくなります。
◇ 以前から貸付事業を本業として行っている場合はОK
もともと、不動産賃貸業を本格的に行っている場合は、今回の改正の影響を
受けないような措置が設けられました。
相続開始前3年前から「事業的規模」で貸付事業を行っている人が
相続開始前3年内に新たに賃貸を始めても 小規模宅地等の特例を受けることができます。
ここでいう「事業的規模」とは、一般に 貸家なら5棟以上 アパートやマンションで
あれば10室以上の貸付を行っている場合に該当するといわれています。
税理士法人みらいサクシード
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