相続は、手間がかかる

アパートの建替中に相続が発生した場合の敷地の評価

石川県の相続税専門税理士

金沢市、野々市市、白山市、小松市を中心に活動しています!

ブログをお読みいただき、ありがとうございます。

 

アパートは老朽化すると、修繕費がかさみ、空室率が上がってしまうことが

ほとんどです。家主さんは、古くなったアパートを建て替えるべきか、それとも

取り壊してその敷地を他の用途に使用するか悩まれるかもしれません。

アパートは、相続税の財産評価をするときに「貸家」「貸家建付地」として

評価減をすることができます。

もし、新しいアパートの建替中に家主さんが亡くなった場合は、亡くなった時点で

貸し付けを行っていないため、評価減ができないのでは?という疑問が生じます。

この場合、ケースによっては「貸家建付地」として評価減できる可能性があります。

 

例) 山田さん … アパートの建て替え中に亡くなりました。

 

  〔ケース1〕  貸家建付地として評価できない場合

    山田さんは、旧アパートの賃借人に対して、立退料を支払い、

    賃貸借契約は解消しています。

     → 建替中のアパートの敷地は、自用地として評価します。

         貸家建付地として評価はできません。

 

  〔ケース2〕  貸家建付地として評価できる場合

    山田さんは、旧アパートの賃借人に対して、立退料の支払はしていません。

    旧アパートの賃借人は、建替後の新アパートに入居することになっています。

     → 建替中のアパートの敷地は、貸家建付地として評価することができます。

   

  〔ケース3〕 貸家建付地として評価できる場合 

    山田さんは、新築中のアパートについて、権利金の授受を行っており、

    賃貸借契約を締結しています。

     → 建替中のアパートの敷地は、貸家建付地として評価することができます。

 

     ※ 国税不服審判所 裁決事例集 Nо,44 284頁を参考にしました。

 

     貸家建付地とは、相続開始時において、借家権の目的となっている家屋の

     敷地でなければなりません。

 

       ※借家権とは…借主がその家屋に継続的に住むことができる権利。

                借地借家法により保護されています。