石川県の相続税専門税理士
金沢市、野々市市、白山市、小松市を中心に活動しています!
ブログをお読みいただき、ありがとうございます。
数回にわたり、さまざまな税額控除を紹介しています。
今回は、10年以内に連続して相続が発生した場合に、
相続税から控除できる相次相続控除です。
☆ どんな制度か
連続して相続が発生すると、同じ財産に短期間の間で二度の相続税が
課税されることになってしまいます。
そこで、前回の相続から10年以内に今回の相続が起こった場合には
相続税額から一定金額を控除することができます。
☆ 相次相続控除の適用を受けることができるのは…
被相続人の相続人です。(相続の放棄をした者は含まれません。)
そして、今回の相続開始前10年以内に発生した相続により
被相続人が財産を取得しており、相続税が課税されていた場合に適用できます。
☆ 相次相続控除の金額
前回の相続において計算された相続税額のうち、1年につき10%の割合で
逓減した後の金額を今回の相続に係る相続税額から控除します。
少し複雑な計算式で控除額を計算することになります。
例)田中 太郎 … 平成25年4月1日死亡
山田 ひとみ … 田中太郎さんの子
ひとみさんが 太郎さんの相続時 取得した財産 2,200万円
〃 控除した債務控除の額 200万円
〃 納付した相続税額 400万円
↓
山田 ひとみ … 平成29年6月1日死亡
山田 卓也 … ひとみさんの夫
卓也さんが、ひとみさんの相続時 取得した財産 1,000万円
〃 控除した債務控除の額 100万円
山田 ゆり … ひとみさんの子
ゆりさんが、ひとみさんの相続時 取得した財産 300万円
☆ 山田 卓也さんの相次相続控除の金額
400万円×(1,000万円-100万円+300万円)/ (2,200万円-200万円-400万円)= 300万円
300万円×(1,000万円-100万円)/(1,000万円-100万円+300万円)×(10年-4年)/ 10年 = 135万円
※ 平成25年4月1日~平成29年6月1日 … 4年2カ月 → 4年とする
→ 控除額 135万円
☆ 山田 ゆりさんの相次相続控除の金額
400万円×(1,000万円-100万円+300万円)/ (2,200万円-200万円-400万円)= 300万円
30万円×300万円 /(1,000万円-100万円+300万円)×(10年-4年)/ 10年 = 45万円
※ 平成25年4月1日~平成29年6月1日 … 4年2カ月 → 4年とする
→ 控除額 45万円
前回の相続から今回の相続までの経過年数によって、控除額が変わってきます。
☆ 相次相続控除が適用できないケース
例)山田 三郎 … 平成27年8月31日死亡
山田 花子 … 三郎の妻
(三郎さんの相続時、配偶者の税額軽減を受けたので相続税額はゼロでした。)
山田 さとみ … 三郎の子
(三郎さんの相続時、納付した相続税額は50万円でした。)
↓
山田 花子 … 平成29年8月31日死亡
山田 さとみ … 花子の子
Q.さとみさんは、平成29年に死亡した花子さんの相続税の申告をするときに
相次相続控除を受けることができるでしょうか。
〔回答〕
さとみさんは、相次相続控除を受けることはできません。
相次相続控除は、平成27年に死亡した三郎さんの相続時に、
花子さんが相続税を納めていた場合に適用できます。
花子さんは、配偶者の税額軽減を受けたため、納めた相続税額はありませんでした。
したがって、さとみさんは、今回、被相続人となった花子さんの相続税の計算上、
相次相続控除を適用することはできません。