石川県の相続税専門税理士
金沢市、野々市市、白山市、小松市を中心に活動しています!
ブログをお読みいただき、ありがとうございます。
数回にわたって、さまざまな税額控除を紹介しています。
今回は、相続人が未成年だった場合に受けることができる控除です。
☆ どんな制度か
未成年者が満20歳になるまでの年数 ×10万円を相続税額から控除することができます。
例)相続人 ひろみさん … 相続開始時の年齢 15歳8カ月
端数の8カ月は切り捨て、15歳で計算します。
( 20歳-15歳 )× 10万円 = 50万円 → 未成年者控除の金額
☆ 未成年者控除が相続税額より大きい場合は?
相続または遺贈により財産を取得したひろみさんが、相続税額から未成年者控除を
差し引いても なお控除しきれない未成年者控除の金額があるときは、
その控除しきれない金額をひろみさんの扶養義務者の相続税額から
控除することができます。
※ ここにいう扶養義務者とは配偶者、父母、祖父母などの直系血族、兄弟姉妹、
その他一定の親族をいいます。
例) 相続人 山田 太郎 … ひろみさんの父 相続税額100万円
相続人 山田 花子 … ひろみさんの母 相続税額 50万円
相続人 山田 ひろみ … 15歳 相続税額 20万円(未成年者控除適用前)
( 20歳-15歳 )× 10万円 = 50万円 → 未成年者控除の金額
↓
ひろみさんの相続税額の計算
相続税額 20万円 - 未成年者控除 50万円 = △30万円
太郎さんと花子さんは、話し合いにより、△30万円について
それぞれ 1/2ずつ 控除することにしました。
30万円 × 1/2 = 15万円
太郎さんの相続税額の計算
相続税額 100万円 - 未成年者控除 15万円 = 85万円
花子さんの相続税額の計算
相続税額 50万円 - 未成年者控除 15万円 = 35万円
上記のように、扶養義務者全員が、協議により、控除を受けることができる金額を
定めた場合は、その金額をそれぞれの相続税額から控除します。
☆ 未成年者に相続税額がない場合の未成年者控除の金額は?
上記のケースで、もし、山田ひろみさんについて、相続税額が算出されなかった場合は、
未成年者控除の金額 50万円すべてを太郎さんと花子さんの話し合いにより、
それぞれの相続税額から控除することになります。
※ ポイント
未成年者控除は、相続または遺贈により財産を取得した場合に適用できる控除なので、
ひろみさんが相続により、財産を取得しなかった場合には、未成年者控除自体の適用は
ありません。
〔 婚姻していた未成年への適用 〕
20歳未満の者であれば、婚姻していた場合でも、未成年者控除の適用があります。
※ 民法上、未成年者が婚姻をしたときは、成年とみなされますが、
相続税を計算する際は、未成年者控除の適用がある旨が定められています。
(相続税基本通達第19条の3)
〔 胎児への適用 〕
胎児が生きて生まれてきた場合、未成年者控除の適用があります。
控除できる金額は、200万円となります。
( 20歳-0歳 )× 10万円 = 200万円
※ 胎児について、相続人になれるのか、また、遺産分割の進め方など
後日、こちらのブログで紹介したいと思います。