相続は、手間がかかる

”負”の財産を相続するとき

石川県の相続税専門税理士

金沢市、野々市市、白山市、小松市を中心に活動しています!

ブログをお読みいただき、ありがとうございます。

 

前々回 紹介しました 相続に関する意識調査のなかで、

子供は、親から相続で財産を受け取ることについて

「期待していない、やや期待していない」が8割にのぼる、という結果をご紹介しました。

なぜ、こんなに高い割合なのか 理由を考えてみると、

昨今 話題になっている空き家問題など、負の相続財産の存在が

影響しているのではないかと考えられます。

 

相続が起きたとき、借入金など負の財産のほうが大きい場合は、

相続の放棄をすることができます。

負の財産というと、借入金が頭に浮かびますが、表向きはプラスの財産でも

相続放棄される財産が 最近増えているようです。

いわゆる“負”の財産。

 

地方の衰退を背景に、最近は住む人がいなくなった家や、荒れた山林、田畑

といった不動産が増加しています。

 

先日、こんな話を聞きました。

相続人は兄弟2人でした。

兄は地方の実家近くに住み、弟は都会暮らし。

父親に相続が起きました。

実家には、いわゆる“負”の財産がありました。それは山林と田畑でした。

額面どおり 相続税評価をすると立派な金額になりますが、

売却できる予定はありません。

税金の負担だけがのしかかってくることになります。

 

もし 空家だった場合、倒壊の危険もあるでしょうから修繕費もかさみます。

また、近い将来、取り壊し費用もかかってきます。

 

兄と弟の法定相続分は、1/2ずつです。

兄弟で話し合った結果、

兄は、この“負”の財産を相続する代わりに 将来の維持費に相当する預貯金を

弟より 多く 相続することにしたそうです。

このケースでは、兄弟間の話し合いがスムーズに進みました。よかったです。

ところが、これはレアケースかもしれません。

 

上記のように、兄が地方、弟が都会に暮らしている兄弟間で、

相続の争いが起こったら…。

判例では、

「 地方に住んでいる兄に 実家近くの不動産を相続させるのが 

    好ましいのではないか 」と判断される傾向があるようです。

 

資産の内容、家族構成、家族の関係… それぞれの方に起こる

相続に同じものはひとつもありません。

前々回からブログでも触れていますが、早いうちから 家族のあいだで

話し合い、意思疎通をはかることが大切だと感じます。