相続は、手間がかかる

事業承継税制(雇用確保要件)の改正

石川県の相続税専門税理士

金沢市、野々市市、白山市、小松市を中心に活動しています!

ブログをお読みいただき、ありがとうございます。

 

今回から、平成29年に行われた相続税、贈与税の改正項目を

解説していこうと思います。

まず、事業承継税制の改正について 数回に分けて ご紹介していきます。

 

☆ 事業承継税制とは

 

  贈与税 … 現経営者から 贈与によって、後継者が取得した自社株式に対応する

        贈与税の納税が猶予・免除されます。

 

    相続税 … 現経営者から 相続又は遺贈によって、後継者が取得した自社株式の

                    80%部分の相続税の納税が猶予・免除されます。

 

 〔 雇用確保要件の見直し 〕

   この事業承継税制を適用するためには、” 雇用を確保する ” という要件が

   必要となってきます。どんな要件かといいますと、

   「 原則として、相続開始時または贈与時の従業員数を5年間

   平均で8割以上 維持しなければならない」

     というものです。 

 

   従前までは…

   例)従業員4人の会社で 1人減ったら、

     事業承継税制を使うことができず、税金を納めなければならない。

 

   改正後は…

   例)従業員4人の会社で 1人減っても、

     雇用要件を満たし、事業承継税制を使うことができる。

 

  どちらも従業員4人の会社で 1人減ったのに 何が変わったのでしょうか?

 

  ◎ ここが改正されました!

    従業員数に100分の80を乗じて計算した数に 1人に満たない端数があるとき、

    端数を切り上げる(改正前)→ 切り捨てる(改正後)こととされました。

 

   先ほど、雇用を5年間平均で8割以上維持しなければならない、と解説しました。

   例えば、もともと4人 → 3人 になった場合、

   4人 × 80% = 3.2 人となります。

 

   従前までは…

         3.2人 →  1人に満たない端数を切り上げる  →  3.2人の場合は、4人となる 

   4人の8割は、4人となるため、もし、従業員さんが1人やめて 3人になった場合は、

   雇用確保要件8割を下回ってしまいます。

 

       改正後は…

   3.2人 → 1人に満たない端数を切り捨てる → 3.2人の場合は、3人となる 

   4人の8割は、3人となるため、もし、従業員さんが1人やめて 3人になった場合でも

   雇用確保要件8割を満たします。

 

   ※ ただし、相続開始時または贈与時の従業員数が1人の場合には、

     1人雇用していることが必要です。

 

   この改正により、少人数の会社でも 要件を満たしやすくなりましたね。

   事業承継税制は、適用要件が 非常に複雑なので、検討を考えておられる方は、

   お気軽に 当事務所まで ご連絡ください。