配偶者居住権が創設されました。
〔 改正されるまでは… 〕
高齢化した夫婦に相続が発生するケースでは、
夫が亡きあと、妻が住んでいた自宅を相続すると、その分、預金を相続できなく
なってしまい、住む家は確保できたけれど、その後の生活資金が心配・・・
という不安を感じて抱えられる方がたくさんいました。
〔 改正後は… 〕
「配偶者居住権」という権利が創設されました。
どんな権利なのでしょうか?
相続が発生したときに夫が所有していた自宅に妻も住んでいた場合、
妻が、その自宅建物に無償で住み続けることができる権利です。
☆ 配偶者が所有権を取得するわけではありません。
父が亡くなり、同居していた母と長男が自宅を相続したとします。
長男の母は、自宅に住み続ける権利「配偶者居住権」を取得。
長男は、「母が自宅に住み続ける権利が設定された所有権」を取得。
「配偶者居住権」は、自宅に無償で住み続けることができる権利ですが、
「所有権」ではないため、譲渡したり、貸したりすることはできません。
そのため、完全に自宅を所有するよりも評価額を低く抑えられるというメリットが
あります。
「配偶者居住権」は、遺産分割協議や被相続人の遺言により、
配偶者が取得することができます。
例) 山田 太郎 … 相続財産 6,000万円
( 自宅 3,000万円 、預金 3,000万円 )
山田 花子 … 太郎の妻。太郎と同居。
山田 一郎 … 太郎の長男
太郎の相続人は、花子と一郎の2名。
花子の法定相続分 1/2
一郎の法定相続分 1/2
☆ 改正前 だと…
→ 花子が自宅を相続すると
花子 … 自宅 3,000万円
一郎 … 預金 3,000万円 となってしまいます。
☆ 改正後 は…
花子 … 配偶者居住権 1000万円
預金 2,000万円
一郎 … 太郎さん自宅の所有権 2,000万円
預金 1,000万円
花子さんは、自宅に住み続けることができ、かつ、預金も相続できた
ことから、これからも安心して生活することができるようになりました。
(注)配偶者居住権と太郎さん自宅の所有権の算定は、
個々のケースにより異なります。
今後、計算方法が確定されてくることと思われます。
税理士法人みらいサクシード
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